段ボール箱の設計とは? 内寸・外寸の違い

2022.05.25

基礎知識

段ボール箱の設計とは? 内寸・外寸の違い

段ボール箱の設計とは、内容品に応じて、素材に段ボールを用いた箱の寸法や梱包の仕様を決めることです。
内容品保護が主目的となります。

 

内容品によっては外装だけなく、個装箱、緩衝材、固定材、仕切り等を用いた設計を考えます。
段ボール箱は適切な寸法・材質・箱形式などを設定・設計することで内容品の破損を最大限防ぐことができます。
設計時は、梱包時・開梱時の作業性や、包装コスト等も同時に考慮します。

 

段ボール箱の包装設計が不適切であれば、商品の破損でコストが生じるだけでなく、返品・交換という余計な手間や時間がかかり、最悪の場合お客様の信頼を失います。

 

自社の製品をお客様のもとに届けるため、段ボールの包装設計は重要です。

 

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段ボール箱の設計 手順

①内寸法・箱形状の決定。
・内容品の入れ方(入り数・配列)の検討
・内容品の固定方法(仕切り、胴枠、発泡スチロール等を使用した固定材)や緩衝材の検討

②箱形状の決定
内容品・作業性・機能性・利便性・コスト等を考慮して箱形状を決定

③要求される強度に基づいた材質の決定

④内寸・材質に基づく外装箱設計(展開寸法)

⑤包装コストの検討

⑥包装仕様の決定

 

といった流れになります。
大手メーカーの場合、包装試験輸送試験まで行った上で量産します。
一般にはそこまで行わないことが多いと思われます。

 

段ボール 設計

 

段ボール箱の内寸法・外寸法とは

段ボール箱の寸法は長さ×巾×深さ(高さ)の順にmm単位で表記します。
長さと巾は大きい方が長さ面となります。長さ・巾・深さはタテ・ヨコ・高さとも言います。

 

この場合、長=タテ、巾=ヨコ、深さ=高さと読み替えます。
段ボール箱の寸法を表記する場合、「内寸法(内寸)」、「外寸法(外寸)」を明記する必要があります。

 

段ボール内寸法外寸法

 

段ボール箱の内寸法とは箱の有効寸法です。
内容品(商品)に対して余裕寸法を足したものを内寸法に設定します。

 

例えば、350mm×250mm×高さ200mmの商品を箱に入れる場合、余裕寸法を各3mmと設定すると353mm×253mm×203mmが内寸法(箱の有効寸法)ということになります。

 

内寸法を基に段ボール箱を設計するときには、段ボールの厚み分をプラスして設計します。内寸を実寸法にすると内容品は入りません。

 

よく使われるA式段ボール・5mm段(AF)の場合は長・巾面には内寸+6mm、深さ+9mmフラップ寸法は巾面の1/2+4mmの伸ばし寸法が加算して設計される場合が多いです。(糊代は30~35mm)

 

上記例の場合359mm×259mm×212mmとなります。これを設計寸法(展開寸法、刃渡り寸法)と言います。
加算される伸ばし寸法はフルート(段の厚み)によって変わり、段ボールメーカーによっても設計寸法は少し違う場合があります。

 

本来「外寸法(外寸)」とは箱を組んだ状態で外側の寸法を測ったものです。組んだ状態の段ボール箱は若干膨らむため、正確には「外寸」=「設計寸法」ではありません。

 

ただ、ほんの少しの差であり、一般的に設計寸法を外寸と表示している場合も多くあります。外寸、展開寸法をあまり気にしていない段ボールの営業マンもいるのが実態です。

 

このように、内寸・外寸では違いが生じるため寸法のやりとりをする場合必ず相手に分かるように伝えることが必要となります

 

■A式段ボールの設計
A式段ボールの場合、フルート毎の伸ばし寸法は次のようになります。

 

A式段ボールの設計

 

伸ばし寸法

 

内容品による設計上の注意点

段ボールの内寸法を設定するにあたり、内容品によって注意すべき点があります。

 

・一般的に食品や飲料の場合、販売単位の入り数や配列(2×3列の6本入り等)を検討して決定します。
電気製品・機械製品のような精密品はその付属品とともに入れ方を決定し、固定材・緩衝材も同時に検討して内寸法を決めます。

 

・内寸法は製品寸法(個装や瓶・缶等の容器を並べた実寸法)に余裕寸法を足して設定します。
余裕寸法が小さいと製品の出し入れが大変ですし、余裕寸法が大きすぎると輸送時にして製品同士が擦れたりぶつかったりして傷や破損する場合があります。
余裕寸法をどのぐらいとるかは、製品・入れ数・(多少緩めがいい、きつめがいいといった)ユーザーの好みもあり一概に言えません。
ただ入数が多いものだと誤差が生じますのでダミーサンプルをつくり確認することをおすすめします。

 

・内容品が瓶である場合は瓶同士がぶつかることで破損が生じ易くなりますので、組仕切りやパット等、緩衝材の使用を検討します。

 

・内容品が缶や瓶の場合は、それ自体が耐圧荷重を支えることができますので、内寸設計時深さ方向の余裕は不要です。

 

・瓶や缶など高さ方向が内容品によって決まってくる場合もありますが、商品の入れやすさや開梱の容易さも考慮して開口部(どの面を深さとするか)を決めます。

 

・袋菓子等の製品を入れた袋が気圧の関係で膨らむ場合はそれを考慮します。

 

・衣料品や通販など、内容品が定形品でない場合は内寸より箱寸法を設定する
というよりも、送料や保管場所などからサイズを決める場合もあります。

 

段ボール内容品

箱形状と材質の選定

内容品や作業性、利便性、コスト等によって箱の形状を決めます。
箱を組む作業性を優先する場合はA式でも底ワンタッチを採用するとか、
消費者に直接届く贈答であればN式にする等、選択肢は多岐にわたります。

 

形状が決まれば、要求される強度をもとに材質選定をします。
経験的に材質を選定する場合がほとんどと思われますが、箱を段積みして保管することが想定される場合は、内容品の重量に下段の箱が耐えられるか、箱の圧縮強さを計算することができます。(耐圧強度計算

 

広く使われているA式段ボールの場合「ケリカット式」等の計算式を用いることで、適切な材質を選定することができます。

 

イクソブ株式会社ではお問い合わせいただければ、適切な材質をご提案いたします。

 

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包装コストの検討

これまで包装設計(内寸の設定、緩衝材や固定材の設定、材質の設定)について述べてきました。

 

しかし、ただ厳重に梱包すれば良いという訳ではありません。
どんなに頑丈な箱でも荷扱いや保管状況、例外的な事故で内容品が破損する可能性はあります。

 

先程の材質の選定でも良い材質を使えばそれだけ価格はあがります。
商品を輸送・保管・販売するため包装コストは発生します。
製品の販売価格に見合ったものでなければ、採算がとれません。
包装コストも製品原価として考えます。

 

包装にかかるコストが適切であるかも判断し最終的に包装の仕様を決定します。

 

段ボール形状

まとめ

段ボール箱の設計の概要を解説しました。
段ボール箱の内寸の設定と、内寸から段ボールを設計する手順を述べてきました。

 

内寸がきちんと設定できていないと輸送時の振動で内容品が破損してしまいます。

 

包装設計が不適切であれば、輸送時や保管時、商品が破損してコストが生じます。
また返品・交換という余計な手間や時間がかかり、最悪の場合お客様の信頼を失います。

 

反面、緩衝材や付属品の使用、材質のグレードUPはコスト増も伴います。
過剰な包装は、コストだけでなく梱包に手間・時間がかかり作業性が悪くなる場合もあります。
商品や包装に何を求めるかによっても包装設計は変わってきます。

 

イクソブ株式会社はお客様のニーズを把握して、適切な包装設計をご提案いたします。
是非、イクソブ株式会社にご用命ください。

 

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